労災事故~ひかれた・激突事故【弁護士が解説】
たくさんの業種や現場において、重機や車両に激突されてひかれる労災事故、
そのほかの機械・物と人が激突する労災事故が発生しています。
例えば、作業中のトラックやダンプ、フォークリフトに労働者が激突されてひかれる、
重機が倒れて労働者が下敷きになる、クレーンの吊り荷や伐採木が労働者に激突するなどです。
厚生労働省が取りまとめた令和4年の労働災害発生状況によれば、死亡事故のうち、
「激突され」型の事故が7.6%を占めており、「激突され」型の事故による休業4日以上の死傷者数が7047人だったとのことです。
とてもたくさんの労働者の方が、この「激突され」型の事故の被害に遭われていることがわかります。
なお、重機や車両などにひかれたという事故は、厚労省等の類型上、この「激突され」に分類されます。
重量物である機械や荷物などが人体に衝突する事故ですから、必然的にケガの程度も深刻なものとなることが多く、
重度の後遺障害が残ったり、お亡くなりになったりするケースもあります。
会社、元請けに対する損害賠償が可能なケースも
重度の後遺障害が残ったり、お亡くなりになることが多いこの「ひかれた・激突事故」では、
労災保険給付で相応の補償(数百万円から数千万円)がなされることが少なくありません。
また、労働現場の管理責任について「安全配慮義務違反(労働者が安全で健康に働くことができるように配慮する義務)」や「不法行為責任(事故の原因が企業の活動そのものを原因とするような場合や、
労働現場の建物・設備に危険があった場合などに認められる責任)」などを根拠として
勤務先会社・元請けなどに対して多額の損害賠償請求が認められるケースも多くあるのです。
特に、この「ひかれた・激突事故」の場合で、会社に責任を問えないケースはむしろ少なく、
多くのケースで会社は何かしらの注意義務違反や不法行為責任を負うといってよいと思われます。
しかしながら、このことを知らずに、労災保険からの給付のみを受け取って「一件落着」と考えて終えてしまっている被害者の方が多いのもまた事実です。
労災保険では、休業損害や後遺障害に基づく逸失利益についてその損害の全額が填補される給付されるわけではありませんし、慰謝料の給付は全くありません。
労災保険で補償されない損害については、会社に責任追及をすることにより賠償を受けられる可能性があるのです。
重篤な被害に遭ってしまっているのであれば、労災給付による補償を受けるべきことはもちろんですが、
会社の責任を問えるケースでは会社に対する責任追及を行い、おケガの程度に見合った正当な賠償を受けるべきです。
裁判例のご紹介
「ひかれた・激突事故」で、会社から賠償を受けられたケースとして、例えば、次のような裁判例があります。
〇 高知地方裁判所 平成元年5月31日判決
[事故内容]
宅地造成工事現場において、孫請会社の従業員が、下請会社の従業員の指示に従って掘削機を使って作業をしていたところ、その掘削機先端のバケット部分を下請会社従業員(31歳・男性)に激突させて死亡させた。
[会社の責任]
掘削機の操作をしていた孫請会社従業員個人の過失が認められ、
下請会社・孫請会社とともに元請会社の使用者責任も認められた(元請会社・下請会社・孫請会社の計三社の連帯責任が認められたケース)。
[判決で認められた賠償額]
3335万0772円
※上記賠償額は、労災保険で補償された金額を除いた金額です。
※死亡された方の過失割合は3割と認定されました。
〇 東京地方裁判所 平成19年3月23日判決
[事故内容]
被告会社の工場において、従業員(32歳・男性)がステンレス鋼の巻取り作業を行っていたところ、
同作業中に鋼板の先端が巻取り装置のグリップから外れて鋼板がはね、同従業員の頭部に激突し、死亡した。
[会社の責任]
被災労働者を雇用していた会社の安全配慮義務違反を認めた。
[判決で認められた賠償額]
4521万4878円
※上記賠償額は、労災保険で補償された金額を除いた金額です。
※死亡された方の過失割合は4割と認定されました。
他の従業員の失敗・過失によりケガを負った場合の賠償はどうなる?
「同じ現場で作業していた方の運転ミス、操作ミス、安全確認の懈怠によって、ひかれた・激突事故が発生した」というケースが多くあります。
このような場合、責任は誰にあるのでしょうか。
もちろん、ミスをしてしまった本人に落ち度はあり、損害賠償責任はあります(、民法709条に基づく不法行為責任)。
さらに、従業員が業務の執行につき行った不法行為による責任は、その従業員のみならず、雇用主である会社も負います。
これを「使用者責任」(民法715条)と呼び、会社に対して損害賠償請求をする際の根拠となります。
この場合、ミスをしてしまった加害者個人の責任と会社の責任は両立します。
被害者は、両者に対して責任追及をすることもできますし、加害者だけあるいは会社だけのいずれかに責任追及することもできます。
もっとも、加害者個人には賠償責任を果たすだけの資力がないことがほとんどですので、会社だけを相手方として交渉・訴訟提起を行うことも多く、両者を相手方とした場合でも、実際には会社が支払うことがほとんどです。
会社・元請けに対して過失を追求するために
労災事故においては様々な角度から「事業主は事故を起こさないために全力で労働者の安全に配慮したのか」という検証が行われます。
「ひかれた・激突事故」が発生したとなれば、例えば下記のような点で、会社・元請けの過失が検証・追及されることになります。
・立入禁止区域の設定、安全のために必要な指示の徹底など安全対策は不足なくなされていたか
・運転、操作免許・資格を持っていない者に運転・操作をさせていなかったか
・機械を操作する者、周囲で従事する者への十分な安全教育がなされていたか
・機械のメンテナンスを適正に行っていたか、劣化・不具合等が発生していたのにそれを放置していなかったか
・機械を本来予定されている用途に合った使い方をさせていたか
・安全確保のための作業計画が立案されていたか、その作業計画に基づき作業指揮者や監視員の配置などは十分になされていたか
しかしながら、労災事故の態様は様々であり、機械・車両を操作していた個人に過失があったといえるかどうか、
会社にどのような安全配慮義務違反があったといえるかどうか、元請け・下請け・孫請けなど複数の会社が同一現場で作業している場合にどの会社に責任追及できるのかなどについての法的検討は、事案ごとに様々でとても難しい法的な検討が必要となります。
また、一個人である労働災害に遭われた被災労働者が、
独力で会社や保険会社とやりとりをするのは困難を極め、事故態様に関する資料の収集も容易ではありません。
ほとんどの方が労働災害に遭うこと自体初めての経験ですから、ご自身ではよく分からないことが多く、
どのように交渉を進めればよいか悩ましく、お忙しい中で非常にストレスに感じられることと思います。
また、会社側も「そもそも労働者(=あなた)の不注意による事故であり、会社に責任はない」、
「労働者に大きな過失があった」というように、「安全配慮義務違反がない」と主張したり、
仮に会社の責任を認めても「過失相殺(割合)」で大幅減額などの主張をしてくる場合が少なくありません。
そのような時にも、弁護士はあなたの味方となり、適切な主張を行います。
弁護士は、労働災害の賠償についても熟知しており、こういった複雑・煩雑なやりとり、具体的な証拠の収集、
事実認定を経た上での法的主張なやり取りは日常的に行う業務としてよくなれていますから、
ご依頼いただくことでこれらを一挙に担い、有利に、スピーディーに進めることができます。
「ひかれた・激突事故」に遭われた方やご遺族の方は、ぜひ一度ご相談ください。
早めの相談・依頼で安心を
労働災害の補償やその手続きは複雑で、一般の方が理解しづらいとお感じになる部分も少なくありません。
また、ご自身で会社と交渉することは大きなストレスとなりますし、
どんな責任をどの程度追及できるかについても、判断は容易ではありません。
弁護士にご依頼いただくことで、会社側に責任があるのかどうかをより正確に判断し、会社側と対等に交渉することが可能です。
また、「弁護士に依頼するかについては未定」という方も、
お早めにご相談いただくことで、弁護士はその方の具体的な事情を踏まえたアドバイスができますので、
ご不安の解消や、今後の方針を立てるお役に立つことでしょう。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
ご相談は、事務所での対面を基本としていますが、難しい場合には、
お電話・WEB(Zoomを利用)でのご相談も可能です。
初回1時間以内のご相談は無料です。
まずは、当事務所にお気軽にお問合せください(電話番号:06-6766-4360)。
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